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「麻」という素材について

新しい細タペSP 新しい細タペPC

「むっくり」と美しい
麻織物にほれ込み、
製造を開始して、20年

ルシエール・ジャパンは、1975年に(村田工芸として)創業した当時、京都で培った織物や染色の技術を活かして、和装小物を多く手がけていました。1985年ごろ創業者の村田俊一が手織りの麻布と出合い、その独特のツヤと「むっくり」とした質感にほれ込み、麻製品の製造を開始しました。

「むっくり」とは、あたたかみや、丸みのある良さを表現するときに用いる京言葉です。麻布は糸に凹凸があることから、織り上げたときに、野趣あふれる味わいと素朴さが生まれます。そこに職人たちが手織りしたあたたかみが調和し、優しい風合いをつくりだしていました。それを村田は京都独特の美意識、「むっくり」と共通していると感じたのです。

麻の種類と歴史。
「苧麻(ちょま)」は武士の礼装などに
用いられた高級織物

神事に用いられたり、衣服に使われたり、古くから麻は日本でなじみのある素材で、縄文時代の遺跡からも出土しています。奈良・平安時代、律令制のもとでは麻は年貢として納められるなど、栽培が盛んであったこともうかがえます。

麻には、「亜麻」「大麻」「黄麻」など、さまざまな種類がありますが、細タペで使用しているのは「苧麻」です。苧麻でつくった布は、丈夫で軽やか。織り上げ、染色したときの光沢は、ほかの麻布にはない気品と美しさがあります。そのため、衣料材料として絹に並ぶほど重宝されてきました。江戸時代には「奈良晒」のような最上品が武士の礼装「裃(かみしも)」に使われ、越後、近江、能登など、全国各地に高級な麻布「上布」の産地が登場するに至りました。

しかし、明治以降、服装の変化や綿など他の素材の増加といった影響を受け、苧麻の栽培と麻織物の生産は、とくに戦後になると激減。現在では、国産苧麻の麻織物はほとんど見ることができない状態です。

栽培~手織り~商品化までを、
自社生産にして、
高い品質を守る

麻は、植物だけでつくるサスティナブル素材。織物にするまでに、苧麻の茎の皮を剥ぐなど、大変な手間と高度な技術が必要な作業です。村田俊一は、この美しい苧麻の麻織物とその製法を後世に残したいと、2001年、中国江蘇省に関連会社を設立し、染色工場を建設。苧麻を栽培し、糸に加工、織物に仕上げるまでを中国四川の産地にて行っています。

苧麻から麻織布ができるまで

①2m近く成長した苧麻を収穫
②茎の皮を剥ぎ、取り出した繊維を手績(てう)みして糸にする
③糸同士を手作業でつなぎ、太さを揃えながら長い糸をつくる(大量に)
④強度を増すため、並べた糸に糊をつける
⑤炭をおこした上で乾燥させる
⑥機織り機に、経糸を一本ずつ通して手機で織りあげる
⑦工場で糊抜き、プレスにかけて、はりのある麻織布に仕上げる
※収穫から麻布の完成まで約3か月かかります

日本・中国両国に
受け継がれる手仕事を
後世に伝えたい

合理化、機械化が進む昨今、手間や時間のかかる手しごとが次々に姿を消していきます。人の手にこだわったものづくりを続けていくことは簡単なことではありませんが、京都洛柿庵では、手しごとならではのぬくもりこそが、人々の暮らしにやすらぎを感じさせるのに欠かせないことだと考えています。京都で制作した図案をもとに、中国の四川省で生産・手織りした麻織布を、京都と中国の工房で熟練職人が一点一点染色・加工しています。